保険外併用療養費
健康保険では、保険が適用されない療養を受けると、保険が適用される療養にかかる費用も含めて、医療費の全額が自己負担になります。しかし、医療技術の進歩や患者のニーズの多様化に対応するために、保険が適用されない療養を受ける場合でも、一定の条件を満たした「評価療養」と「選定療養」であれば、保険が適用される療養にかかる費用は保険診療に準じた保険給付が行われます。これを保険外併用療養費といいます。
評価療養と選定療養
保険適用外の療養のうち、評価療養は医学的な価値が定まっていない新しい治療法や新薬など、将来的に保険導入をするか評価される療養のことです。選定療養は特別な療養環境など患者が自ら希望して選ぶ療養で、保険導入を前提としない療養のことです。
※給付割合は、義務教育就学前は8割。70歳以上は9割または7割となります。
保険との併用が認められる保険外の療養
評価療養
- ○一定の要件を満たした医療機関における先進医療(高度医療を含む)
- ○医薬品の治験にかかる診療
- ○医療機器の治験にかかる診療
- ○薬価基準に収載される前の承認医薬品の投与
- ○保険適用前の承認医療機器の使用
- ○薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用
- ○薬価基準に収載されている医療機器の適応外使用
選定療養
- ○差額ベッドへの入院
- ○予約診療
- ○時間外診療
- ○200床以上の病院に紹介状なしでかかる初診
- ○200床以上の病院の再診
- ○制限回数を超えて受ける診療
- ○180日間を超える入院
- ○前歯部に金合金などの材料を使用
- ○金属床総義歯
- ○小児う触治療後の継続管理
先進医療
保険適用外の先進的な医療技術を受けた場合、医療費の全額が自己負担となりますが、安全性や有効性など一定の条件を満たしていれば、「先進医療」として保険との併用が認められます。また、先進医療の中でも「高度医療」と認められる場合は、未承認の薬や医療機器も含めて、保険との併用が認められます。なお、先進医療は医療技術ごとに定められた基準を満たしている医療機関が届け出れば、どの医療機関でも実施できますが、高度医療は大学病院など特定機能病院と同等の体制がとられている医療機関であることが必要です。
差額ベッドを希望したとき
個室などふつうより条件のいい病室を希望したときは、一般室との差額を自己負担すればよいことになっています。
一部の歯科治療を受けるとき
歯の治療は、患者が保険か自費診療かを選択することになっていますが、前歯に保険で認められていない一部の材料を使ったときや、金属床による総義歯を希望するときは、保険診療と自費診療との費用の差額を負担すればよい場合があります。